人材育成・組織マネジメント勉強中のblog

人材育成や組織マネジメント手法について科学的(エビデンス)な知見から記事を書いていこうと思います。


前回は『褒め方』について書きました。



◆◆合わせて読みたい◆◆





今回は『褒める』シリーズ最終回で、「なぜ今さら『褒める』について記事を書いたか」について書こうと思います。




なぜ今さら『褒める』に言及?


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引用元:まつなが ひでとしさんによる写真ACからの写真




書籍やテレビなどのメディア、またはセミナー等でも『褒める』事についてのお話が出ており、一般的には『褒める』事については推奨されていると思います。



しかし、私はこれらに少し違和感を感じています。



その違和感とは、なぜいつまでも同じような『褒める』記事や特集が無くならないのかということです。




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私が知る限り『褒め』に関する研究は1970年代から行われています。

今から50年も前です。



自動車で例えますと、1970年代に発表した自動車を今でも売り出し続けているような感覚です。


自動車はこの50年で確実に進歩し、私たちの生活を変化させています。



このため、私たちの職場において『褒める』行為が当たり前になっていれば、わざわざ同じような『褒める』記事や特集はしなくてもいい、というか需要が無くなると思います。




では、なぜいつまでも『褒める』記事や特集が無くならないのでしょうか?



それは、もちろん『褒める』事についての心理学的研究が進んでおり、新しい知見や、現在の我々の社会的変化に合わせた知見が出てきているからだと思います。



それと、私が感じている理由としては、推奨されている『褒め』は結局、現場ではあまり行われていないのではないかというものです。


なので、いつまでも『褒める』記事や特集が無くならないのではないでしょうか?



これは「以心伝心」や「言わずとも…」、「背中で語る」みたいな、日本人の文化が少し影響しているのかもしれません。


「言わない美学」も時には必要ですが、子育てや人材育成・組織マネジメントでは、必要に応じて『褒める』事を積極的に行っていった方が良いと感じています。



私の経験上、『褒める』事は動機づけに関して非常に高い効果があると実感しております。



また『褒める』事が増えると、周りも私を褒めてくれるようになるばかりか、スタッフがスタッフを褒め合うようになり、チームワークも向上し、承認・所属欲求も満たされている印象を受けています。


「自分は部下・スタッフを褒めている」という方もいらっしゃるかもしれません。


私の一意見としてですが、スタッフがスタッフを褒め合う風土になっているかどうか」を、自分が部下・スタッフを褒めているかどうかの評価点とするのはいかがでしょうか?



また、部下やスタッフが『褒める』行動を取るまで待つのではなく、こちらから『褒める』仕事や環境を提供することも必要だと思います。



皆さんはいかが思われますでしょうか?






『褒める』シリーズも結構長くなってきました。


前回までは『褒める時に注意している点』について書きました。



◆◆合わせて読みたい◆◆






今回は、『褒め方』についてです。



『褒め方』について


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引用元:fujiwaraさんによる写真ACからの写真




1.「人物」を褒めるか、「結果」を褒めるか、「過程」を褒めるか、どのような違いがあるか?

この研究(5~6歳児対象)では、ある課題を行ってもらい、成功経験を4回、失敗経験を2回させ、成功時に、a.「人物」に対する褒め、b.「結果」に対する褒め、c.「過程」に対する褒めのいずれかを与えます。



課題終了後、もう1度やるとしたらどの課題をやりたいかを尋ねます。



その結果、課題の成功時に「あなたをとても誇りに思うよ」といった「人物」に対する褒めを受けた子供は、「本当に一生懸命やったに違いないね」といった、「過程」に対する褒めを受けた子供よりも、失敗した課題に挑戦したいという割合が低かった。



“成功時に自分自身について褒められた子供は、過程について褒められた子供よりも無力感反応を示しやすくなる”と報告しています。


成長に必要な要素の1つは、「失敗」だと思いますので、失敗した課題への再挑戦意欲が低くなるのはあまり良くないですね。このため、「過程」を褒める事は重要なポイントになりますね。


現場では、なかなか「過程」を褒める事は私自身少ないです。


やはり、どうしても目の行きやすい、「結果」や「人物」を褒めてしまう事が多いです。


これからは、課題や仕事の「過程」も褒めていこうと思います。




2.「失敗」時に承認フィードバックを行っているか?

パズルを使った研究(5~6歳児対象)では、得意な事が上手にできた時、苦手な事が上手にできなかった時に、親・保育者が行っているフィードバックを、a.承認フィードバック(「上手、頑張って」)、b.非承認フィードバック(「だめ、上手じゃない」)の2つに分類しています。


そして、2回の失敗経験試行と、1回の成功経験試行の3回からなる一連の課題を実施。


その後、もう一度パズルををするとしたら、どの課題をやってみたいか選択させた。


結果、“苦手な事が上手にできなかった時に、承認フィードバックを受けている子供は、失敗した課題を選び非承認フィードバックを受けている子供は、成功した課題を選ぶ傾向がある”と報告しています。


部下やスタッフが成功した時は、誰でも承認フィードバックをしていると思います。


重要なのは、失敗した課題に再挑戦できる環境を、上司がどう作っておくかだと思います。


現場では、上司も忙しかったりして、部下やスタッフの失敗に腹を立ててしまったり、ため息をついたり、表情に出たりと、失敗が許されない、または相談ができない環境になっている事もあると思います。


このため、私自身はなるべく余裕を装って仕事をし、部下やスタッフが話しかけやすい、思い切って仕事ができる環境を作るように心がけています。


そうしないと、自分がクリアできる課題しか行わないようになり、部下やスタッフの成長や、組織の発展はあまり望めないと思います。



部下やスタッフが失敗している時こそ、目を配り、失敗した原因の追究の手助けはもちろんですが、過程の承認フィードバックを行い、「もう一度挑戦してみよう‼」という気持ちを作る事が、部下やスタッフの成長を促す事ができると思います。


失敗したときにどのような環境を作れるかがポイントですね。


(失敗の内容によりますが)なるべく、女神のような対応をし、次回もチャレンジできる環境を整えることが必要だと思います。


女神




今回の内容をまとめると、失敗した課題に再挑戦させ、部下やスタッフの成長を促す『褒め』は、



1.「人物」に対する褒めよりも、「過程」に対する褒めが効果的

2.課題の失敗時に承認フィードバックを




となると思います。



研究対象者が5~6歳児となっておりますので、一般化はできませんが、なんとなく、大人でもそんな感じがしますね。



次回は、『褒め』シリーズ最終回で、「なぜ今さら『褒める』について記事を書いたか」を書こうと思います。





【引用・参考文献】
●Kamins,M.L,et al.:Person versus process praise and criticism : Implications for contingent self −worth  and coping .Developmental Psychology
●高崎 文子:達成場面で乳児が受けるフィードバックと達成行動との関連.ヒューマンサイエンスリサーチ
●青木 直子:ほめることに関する心理学的研究の概観.Nagoya University(Psychology and Human Developmental Sciences)







前回からの続きです。


◆◆合わせて読みたい◆◆





『褒める時に注意している点』の5つ目について書こうと思います。





『褒める時に注意している点』


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引用元:fujiwaraさんによる写真ACからの写真




5.アイメッセージで褒める

アイメッセージはご存じの方も多いと思います。調べてみたところ、アメリカの臨床心理学者であるトマス・ゴードン博士が「ユー・メッセージ」と「アイ・メッセージ」を区分したみたいです。


例を挙げた方が分かりやすいと思います。



例)
状況:午前中に友人が、あなたの家を訪ねてきた。二人で話す間中ずっと、7歳になるあなたの子供が、おとなしく一人遊びを楽しんでいた。


A:鈴木さんが来ている間、あなたはずっといい子でいたわね。

B:今日は鈴木さんと途中で邪魔されないでお話ができて、本当にうれしかったわ。


Aが「ユー・メッセージ」で、Bが「アイ・メッセージ」となります。



なんとなくBの「アイ・メッセージ」の方が言われた時に気持ちいいですし、もう1度期待に応えたい気分になりますね。



ある論文では、この心情的な理由を以下のように説明しています。


ユー・メッセージほめは直接的評価の表現であり、上からの目線で決め付けられた印象が見られ、「私のことを知らないくせによく言うな」というような、ほめられる側からほめる側への反発的感情を招きやすいから”


確かに、先ほどの例文のAは上から目線でちょっと癪ですね。


「アイ・メッセージ」では、「善意の原則」と「喜びの共感の原則」によって『褒め』の効用が大きいようです。



善意の原則とは、先ほどの例文のBのように「うれしかった」と言われると、その人がどう感じたかは自由なので、否定の余地は無いですし、言われた方は素直に受け取るしかないですよね。

なので、すっと入ると思います。



喜びの共感の原則とは、“アイ・メッセージは自然に出る本音”で、“ほめる側がほめられる側のことで感動している、ほめられる側のことで喜んであげることが読み取れるので、ほめられる側も嬉しい”という喜びの共感があるとの事です。



このため、褒めれた内容がすっと入り、喜びも共感できるので、『褒め』の効果が大きいと、私は解釈しています。


私は難しい事は良く分かりませんが、相手の行動で、自分がどうだったかの心情を添えて褒めたほうが気持ち良いですよね。


人を動かす、もしくは人が自分から動いてくれるためには感情を揺さぶる事が大事だと思っています。やはり気持ちを伝えたほうが感情は揺れやすいと思います。



少しだけ例を出します。

Bが「アイ・メッセージ」です。


A:ゴミ集積所にゴミを出してくれてありがとう。
B:ゴミ集積所にゴミを出してくれてありがとう。助かったよ。


A:君はコーヒーを入れるのがうまいね
B:君のコーヒーを飲めるのが楽しみなんだ


2つ目の例は、なかなかパッと出てきませんね。これがスッと言えればモテモテでしょうね。




【アイ・メッセージに使用できそうな言葉】
・助かった
・頼りにしてる
・任せて良かった
・嬉しい
・楽しみ
・ワクワクする
・尊敬してる  etc…





「アイ・メッセージ」に関しては、私も使用して、効果を実感しております。皆さんもこれを機会にいかがですか?





【引用・参考文献】
●甘能清,他:語用論から見た「ほめ発話」効果―「 アイ・メッセージほめ」と「ユー・メッセージほめ」を中心に ―.成蹊大学一般研究報告,2016
●小林作都子:その「ほめ方」がやる気を奪う!日本経済新聞出版社,2009





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