前回までで『働く意欲』は一旦終了しました。
◆◆合わせて読みたい◆◆
今回からのシリーズは「組織の底上げの方法」について考察していきたいと思います。
組織の底上げの方法

引用元:fujiwaraさんによる写真ACからの写真
今回からのシリーズの『組織の底上げの方法』についてですが、組織を構成する人数が増えれば増えるほど、ガバナンス確立や意思の疎通が難しくなってくると感じています。
学校法人 産業能率大学が2018年に報告した調査(従業員数100 人以上の上場企業に勤務し部下を1 人以上持つ課長を対象とした調査)の中で、「課長として悩みを感じていることはありますか?」の問いに、約39.9%が「部下がなかなか育たない」と回答しています。
このことからも、部下の育成、はたまた組織の底上げは、管理者の方を悩ませる事柄の1つではないかと思います。
さて、ここからが本題で、「ではどうやって組織の底上げを行えばいいのか?」ですが、これは自分の経験と、一般的に認識されている法則と言われるものを組み合わせて、話していきます。
まず、組織の底上げの方法で、思いつくのは「研修会」や「勉強会」ではないでしょうか?
これについては、私は懐疑的で(もちろん時と場合にはよりますが…)、経験上からも「組織の底上げ」には繋がりにくいと感じています。
ちょっと実際にはどうなのかを調べてみましたが、なかなか研修会の効果を示す論文が見つかりませんでした(たぶんテーマが大きいからだと思います)。
とりあえず、有名なラーニングピラミッドのお話を入れたいと思います。
皆さんご存知だと思いますが、“ラーニングピラミッドとは、学習方略の効果性の文脈において、ラーニングピラミッドと呼ばれるモデルが存在”するようです。
ラーニングピラミッドモデルが示す学習定着率は、講義:5%、読書:10%、デモンストレーション:30%、グループ討論:50%、自ら体験する:75%、人に教える:90%と示されています。
このモデルからすると、講義で構成される研修会の学習定着率は約5%ですので、「研修会やるより他のアプローチした方が良いんじゃない?」むしろ、「体験させて、人に教える方が良いんじゃない?」みたいな考え方になると思います。
しかし、この一般的になっているラーニングピラミッドは実は背景となる根拠(データ)が無いみたいです。
これには驚きでしたが…
ただ、実際に現場で、「この前の研修会で教わったよね?」と聞いても、「そんなこと教わりましたっけ?」とか、普通にありますし、大体2-3ヵ月も経ったら、内容なんてほぼ覚えていないというか、元々覚えようという気持ちで研修会に臨んで無かったというか…少なからず経験がある方もいらっしゃると思います。
なので、根拠となるデータがないのに、研修会の学習定着率が5%だと言われて、「まぁ、それぐらいだろうね」と腑に落ちて、メチャクチャ炎上することはなかったんだろうと思います。
私は、研修会全てが組織の底上げに効果が無いとは思っていません。要は研修会の使い方だと考えています。私個人の考えかもしれませんが、研修会にはいくつかの種類があると思っています。
その種類は3つありまして…
①アナウンス型研修会
②定着推進型研修会
③能動型研修会
の3つです。
アナウンス型研修会は学習定着率はほぼ無視して、とりあえず周知を目的に行う研修会で、これには時間も労力もかけてはいけません。むしろ資料をコピーして配布するぐらいのレベルで良いと思っています。
例えば、「新導入した(リスク管理の少ない)機械の使い方」などです。とりあえず皆がほぼ日常的に使用する物限定の研修会です。
ここで注意が必要なのが、「ほぼ日常的に使用する物かどうか」がポイントです。
皆がほぼ日常的に使用する物であれば、一度説明をしたら、日常的に使用するので学習定着率は研修会後に上がります。たぶん勝手に100%近くになるんじゃないでしょうか?
ここで私の失敗談なのですが、日常的にはあまり使用しない物を研修会によって定着を図ろうと考えて研修会を開催した事がありました。
ラーニングピラミッドでいうと講義主体の研修会の学習定着率は5%です。なので、日常的に使用しない場合は、すぐ忘れるか、あまり覚えていません。これでは研修会の労力や人数×時間が無駄になります。
なので皆が日常的に使用する事のない物・事で組織の底上げを行いたい場合は、このような研修会は不向きであると考えています。
ただ、違う形の研修会にすれば効果はそれなりにあると思っています。それが2つ目の定着推進型研修会です。
この続きは後日書きます。
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【参考・引用文献】
学校法人産業能率大学.第4回上場企業の課長に関する実態調査.2018
https://www.sanno.ac.jp/admin/research/kachou2018.html
土屋耕治:ラーニングピラミッドの誤謬.人間関係研究,17,55-73
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