人材育成・組織マネジメント勉強中のblog

人材育成や組織マネジメント手法について科学的(エビデンス)な知見から記事を書いていこうと思います。

2021年02月


『褒める』シリーズも結構長くなってきました。



今回は、『褒め方』についてです。



『褒め方』について


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引用元:fujiwaraさんによる写真ACからの写真




1.「人物」を褒めるか、「結果」を褒めるか、「過程」を褒めるか、どのような違いがあるか?

この研究(5~6歳児対象)では、ある課題を行ってもらい、成功経験を4回、失敗経験を2回させ、成功時に、a.「人物」に対する褒め、b.「結果」に対する褒め、c.「過程」に対する褒めのいずれかを与えます。



課題終了後、もう1度やるとしたらどの課題をやりたいかを尋ねます。



その結果、課題の成功時に「あなたをとても誇りに思うよ」といった「人物」に対する褒めを受けた子供は、「本当に一生懸命やったに違いないね」といった、「過程」に対する褒めを受けた子供よりも、失敗した課題に挑戦したいという割合が低かった。



“成功時に自分自身について褒められた子供は、過程について褒められた子供よりも無力感反応を示しやすくなる”と報告しています。


成長に必要な要素の1つは、「失敗」だと思いますので、失敗した課題への再挑戦意欲が低くなるのはあまり良くないですね。このため、「過程」を褒める事は重要なポイントになりますね。


現場では、なかなか「過程」を褒める事は私自身少ないです。


やはり、どうしても目の行きやすい、「結果」や「人物」を褒めてしまう事が多いです。


これからは、課題や仕事の「過程」も褒めていこうと思います。




2.「失敗」時に承認フィードバックを行っているか?

パズルを使った研究(5~6歳児対象)では、得意な事が上手にできた時、苦手な事が上手にできなかった時に、親・保育者が行っているフィードバックを、a.承認フィードバック(「上手、頑張って」)、b.非承認フィードバック(「だめ、上手じゃない」)の2つに分類しています。


そして、2回の失敗経験試行と、1回の成功経験試行の3回からなる一連の課題を実施。


その後、もう一度パズルををするとしたら、どの課題をやってみたいか選択させた。


結果、“苦手な事が上手にできなかった時に、承認フィードバックを受けている子供は、失敗した課題を選び非承認フィードバックを受けている子供は、成功した課題を選ぶ傾向がある”と報告しています。


部下やスタッフが成功した時は、誰でも承認フィードバックをしていると思います。


重要なのは、失敗した課題に再挑戦できる環境を、上司がどう作っておくかだと思います。


現場では、上司も忙しかったりして、部下やスタッフの失敗に腹を立ててしまったり、ため息をついたり、表情に出たりと、失敗が許されない、または相談ができない環境になっている事もあると思います。


このため、私自身はなるべく余裕を装って仕事をし、部下やスタッフが話しかけやすい、思い切って仕事ができる環境を作るように心がけています。


そうしないと、自分がクリアできる課題しか行わないようになり、部下やスタッフの成長や、組織の発展はあまり望めないと思います。



部下やスタッフが失敗している時こそ、目を配り、失敗した原因の追究の手助けはもちろんですが、過程の承認フィードバックを行い、「もう一度挑戦してみよう‼」という気持ちを作る事が、部下やスタッフの成長を促す事ができると思います。


失敗したときにどのような環境を作れるかがポイントですね。


(失敗の内容によりますが)なるべく、女神のような対応をし、次回もチャレンジできる環境を整えることが必要だと思います。


女神




今回の内容をまとめると、失敗した課題に再挑戦させ、部下やスタッフの成長を促す『褒め』は、



1.「人物」に対する褒めよりも、「過程」に対する褒めが効果的

2.課題の失敗時に承認フィードバックを




となると思います。



研究対象者が5~6歳児となっておりますので、一般化はできませんが、なんとなく、大人でもそんな感じがしますね。



次回は、『褒め』シリーズ最終回で、「なぜ今さら『褒める』について記事を書いたか」を書こうと思います。




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【引用・参考文献】
●Kamins,M.L,et al.:Person versus process praise and criticism : Implications for contingent self −worth  and coping .Developmental Psychology
●高崎 文子:達成場面で乳児が受けるフィードバックと達成行動との関連.ヒューマンサイエンスリサーチ
●青木 直子:ほめることに関する心理学的研究の概観.Nagoya University(Psychology and Human Developmental Sciences)







前回からの続きです。


『褒める時に注意している点』の5つ目について書こうと思います。





『褒める時に注意している点』


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引用元:fujiwaraさんによる写真ACからの写真




5.アイメッセージで褒める

アイメッセージはご存じの方も多いと思います。調べてみたところ、アメリカの臨床心理学者であるトマス・ゴードン博士が「ユー・メッセージ」と「アイ・メッセージ」を区分したみたいです。


例を挙げた方が分かりやすいと思います。



例)
状況:午前中に友人が、あなたの家を訪ねてきた。二人で話す間中ずっと、7歳になるあなたの子供が、おとなしく一人遊びを楽しんでいた。


A:鈴木さんが来ている間、あなたはずっといい子でいたわね。

B:今日は鈴木さんと途中で邪魔されないでお話ができて、本当にうれしかったわ。


Aが「ユー・メッセージ」で、Bが「アイ・メッセージ」となります。



なんとなくBの「アイ・メッセージ」の方が言われた時に気持ちいいですし、もう1度期待に応えたい気分になりますね。



ある論文では、この心情的な理由を以下のように説明しています。


ユー・メッセージほめは直接的評価の表現であり、上からの目線で決め付けられた印象が見られ、「私のことを知らないくせによく言うな」というような、ほめられる側からほめる側への反発的感情を招きやすいから”


確かに、先ほどの例文のAは上から目線でちょっと癪ですね。


「アイ・メッセージ」では、「善意の原則」と「喜びの共感の原則」によって『褒め』の効用が大きいようです。



善意の原則とは、先ほどの例文のBのように「うれしかった」と言われると、その人がどう感じたかは自由なので、否定の余地は無いですし、言われた方は素直に受け取るしかないですよね。

なので、すっと入ると思います。



喜びの共感の原則とは、“アイ・メッセージは自然に出る本音”で、“ほめる側がほめられる側のことで感動している、ほめられる側のことで喜んであげることが読み取れるので、ほめられる側も嬉しい”という喜びの共感があるとの事です。



このため、褒めれた内容がすっと入り、喜びも共感できるので、『褒め』の効果が大きいと、私は解釈しています。


私は難しい事は良く分かりませんが、相手の行動で、自分がどうだったかの心情を添えて褒めたほうが気持ち良いですよね。


人を動かす、もしくは人が自分から動いてくれるためには感情を揺さぶる事が大事だと思っています。やはり気持ちを伝えたほうが感情は揺れやすいと思います。



少しだけ例を出します。

Bが「アイ・メッセージ」です。


A:ゴミ集積所にゴミを出してくれてありがとう。
B:ゴミ集積所にゴミを出してくれてありがとう。助かったよ。


A:君はコーヒーを入れるのがうまいね
B:君のコーヒーを飲めるのが楽しみなんだ


2つ目の例は、なかなかパッと出てきませんね。これがスッと言えればモテモテでしょうね。




【アイ・メッセージに使用できそうな言葉】
・助かった
・頼りにしてる
・任せて良かった
・嬉しい
・楽しみ
・ワクワクする
・尊敬してる  etc…





「アイ・メッセージ」に関しては、私も使用して、効果を実感しております。皆さんもこれを機会にいかがですか?




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【引用・参考文献】
●甘能清,他:語用論から見た「ほめ発話」効果―「 アイ・メッセージほめ」と「ユー・メッセージほめ」を中心に ―.成蹊大学一般研究報告,2016
●小林作都子:その「ほめ方」がやる気を奪う!日本経済新聞出版社,2009





前回の続きです。


『褒める時に注意している点』の4、5つ目について書いていこうと思います。

4.相手は誰に何を褒めてもらいたいか?
5.アイメッセージで褒める




『褒める時に注意している事』


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引用元:ラッキーエースさんによる写真ACからの写真





4.相手は誰に何を褒めてもらいたいか?

これは前回の話の続きになりますが(『褒め』が人材育成・組織マネジメントに及ぼす影響(3))、相手との信頼関係が築かれているかと、相手は今何に力を入れて行動しているかを見極めることが重要となると思います。



これに近いことは研究でも実証されています。


まとめてお伝えすると、「上司との関係性が良く、本人の目標も工夫されて設定されており、ポジティブなフィードバックを受けた部下は、その上司もしくはそのフィードバックに応えようとして、課題に対する動機づけを高めている可能性がある」というものです。



これを応用すると、信頼関係が築けている部下やスタッフには、『褒め』は効果的で、本人が今目標にしている事や力を入れることへの『褒め』も効果的です。




さらに応用していきます。




部下のAさんは、「直属上司のBさんは営業に長けている」、「他部署の上司のCさんはプレゼンテーションに長けている」と思っているとします。


部下のAさんは今回プレゼンテーションを頑張っているとします。



このような場合は、直属上司のBさんが褒めるよりも、他部署の上司のCさんが褒めた方か、より効果が高いかもしれません。



このように、相手は誰に何を褒めてもらいたいかを考えながら、褒めるようにしています。



最後の5つ目、アイメッセージは後日更新します。



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【引用・参考文献】
●山浦 一保,他:部下に対する上司のポジティブ・フィードバックが機能しないとき.心理学研究





今回は『褒める時に注意している事』について書こうかと思います。




ここで『褒める』事において、個人的に気をつけている事は、5つあります(少し省略しています)。
1.褒める事が必要か?
2.自分に褒めてもらいたいか?
3.相手は何を褒めてもらいたいか?
4.相手は誰に何を褒めてもらいたいか?
5.アイメッセージで褒める



『褒める時に注意している事』


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引用元:ラッキーエースさんによる写真ACからの写真




1.褒める事が必要か?

これは前回お話した通り(『褒め』が人材育成・組織マネジメントに及ぼす影響(2))、スタッフや部下が好きで、楽しんでやり始めた仕事では、『褒める』事はあまりしないようにしています。


理由としては、好きでやっている仕事をしているときに『褒め』という報酬が加わってしまうと、その『褒め』という報酬のために仕事をやる、という「すり替え」が起こる可能性があるからです。




このため、こちらから頼んだ仕事の場合は、褒める事も多いですが、スタッフや部下が好きで、楽しんでやっている仕事の時は、『共感』したり、『感想』を述べたりしています。




2.自分に褒めてもらいたいか?

これも前回のお話しに少し出ましたが(『褒め』が人材育成・組織マネジメントに及ぼす影響(2))、褒め手と褒められる側の信頼関係が築けているかが重要だと思います。


ある論文では”ほめる免許が必要である”と紹介しています。その免許は“自分が人からしっかりほめられることで免許が取れる”と紹介しています。



この論文を読んでいて、確かによく褒められている先輩や尊敬している上司から褒められると、嬉しいなと感じますね。あまり褒められていない先輩や尊敬できずにいる上司から褒められてもあまり嬉しくない気もしますね。



なので、部下やスタッフから見て、自分が褒められたい対象かどうかを考えながら褒めるようにしています。




3.相手は何を褒めてもらいたいか?

よく褒められる人は「ほめる免許」を持っている、と前述しましたが、その理由の1つとして、よく褒められる人は、スタッフや部下の些細な良い事や良い行動に気づくことが多いです。


理由としては、よく褒められるので、「こんなことでも褒められると嬉しいんだ」という経験が多いからだと思います。


このため、部下やスタッフから「些細なことでも私を見ていてくれているんだ」と、信頼を得ることができると思います。


また、スタッフや部下の行動に目を配り慣れており、相手が今何に集中しているか、力を入れているかが分かります。


このため、その部分をジャストで褒める事ができると、さらに信頼関係を築くことができると思います。


このため、部下やスタッフが今、一番何を褒めてほしいかを考えながら、部下の表情、会話でよく出る内容、行動に気を配っています。





続きは後日、更新致します。




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【引用・参考文献】
●吉田 道雄:コミュニケーションとリーダーシップの技術:対人関係のプロフェッショナルを目指して.熊本大学学術リポジトリ





今回は『褒める』事についてのデメリットについて書こうかと思います。



『褒める』事については、推奨したほうが良いと一般的には認識されていると思います。自分もそう思います。

ただ私自身の経験から、デメリットもあるなと実感したことがあるので、それを書いていこうかと思います。




『褒める事』でのデメリット


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引用元:yumeyumeさんによる写真ACからの写真




まず1つは、信頼関係があまり築かれていない人から褒めれた時、「何?何か企んでいるのか?」と思ったことがあります。


もう1つは、若手社会人を褒めた時、最後は、自分が好きでやっていた仕事を褒められた時にデメリットを感じました。詳しくは以下に述べていきます。




1.信頼関係があまり築かれていない人からの『褒め』

これは、ただ心情的に「何で褒めるの?」と思ったからです。極端ですが、通りすがりの人に「あなたは素晴らしいですね‼」といきなり褒められた場合、気持ち悪いですよね(かなり極端ですが…)。


なので、自分が尊敬していなかったりする上司などからいきなり褒められると、あまり嬉しくないばかりか「なにか企んでいるのか?」と疑心暗鬼になります。


なので、信頼関係が築かれていない場合の『褒める』事は少しデメリットであると感じています。


ある論文ではこれを「インフラが整備されていない」と表現しています。『褒める』事で効果を出すには、相手との間に信頼関係が築けているかが重要であると私は解釈しています。




2.褒められた内容に基づいて自己像を形成してしまう
 
ある報告では、“寄付を募るにあたり、相手に対して慈悲深いとほめた群からは多くの寄付が得られた。”とされ、“これは他者によってラベル付けをされると、それに基づいて自己像を形成し、その通りにふるまおうとするためである。”


とされているように、褒められた内容通りに振舞おうとする気持ちはなんとなく分かりますね。


また、『褒める』といっても、私たちは様々な用途で使用しています。


だいたい8つぐらいに分類されるみたいです。


前述したラベル付けは、おそらく「代理強化」といって、“対象者の行動を変化させコントロールするために使われる”と述べられています。



やる気男性




このため、自己像が形成されていない子供や、若手社会人などは『褒め』の内容によってコントロールされ、自分らしさが薄くなる可能性も少しはあるかと思いますので、少し注意をしています。




3.本人が好き、または楽しいと思っている仕事での『褒め』

ある論文では、“楽しいために作業をしていたときに報酬が加わってしまうと,その報酬のために作業をしていると自ら解釈してしまうと説明される。”と述べられています(自己知覚理論(Bem,1967))。


私自身も楽しいから好きでやっている仕事で褒められた経験があります。


するとそれ以降は、その仕事で一定以上の成果が上がった時に褒められない事があると、かなり腹を立てた経験があります。

元々は好きでやってた仕事だったのですが、報酬を求めてやる仕事にすり替わっていたのだと思います。



なので、部下やスタッフが好き、または楽しいと思ってやり始めた仕事は、『褒める』事はせずに、共感したり、進捗の過程の感想を伝えたりしてます。




次は、『褒める時に気をつけている事』について書こうと思います。




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【引用・参考文献】
●吉田 道雄:コミュニケーションとリーダーシップの技術:対人関係のプロフェッショナルを目指して.熊本大学学術リポジトリ
●澤口 右京,他:「ほめ」に関する心理学的研究の動向.目白大学 心理学研究
●青木 直子:ほめることに関する心理学的研究の概観.Psychology and Human Developmental Sciences




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