またまた本業が忙しくて、なかなか更新できずでした。

今年度中に、このシリーズは終わりにしようと思い、記事を書いています。



前回までは、「経営ビジョンの浸透」について書きました。


◆◆合わせて読みたい◆◆





その方法は書いておりませんでしたので、今回は「経営ビジョンの浸透方法」について書いていきたいと思います。




経営ビジョン浸透方法


いくつかの先行研究をみると、「経営ビジョン浸透方法」は大きく分けて5つあるようです。


それは、以下の5つです。

①「強い文化」論モデル
②観察学習モデル
③意味生成モデル
④読者の視点論
⑤正統的周辺参加、状況的学習論



簡単に説明していきます。



①「強い文化」論モデル

企業の中核となる少数の価値観が経営者主導で企業内に浸透し、企業文化として定着している企業は、高い業績・パフォーマンスをあげてきたとする。
ここで、中核となる少数の価値観とは経営理念を指しており、こうした組織の考えや信念が企業文化を形成しそれを維持し続けるためには、経営者の強いリーダーシップが重視される。


これはすごく単純ですね。


経営者の強いリーダーシップで文化を形成し、育んで行くスタイルです。


経営者が経営理念の元に引っ張っていく、もしくは会話の中で、頻繁に声に出す、また行動まで行えさせれば上手くいきそうです。


スタートアップ企業なんかではすごく上手くいきそうですね。
っていうかスタートアップなら当たり前か。



しかし、中規模企業や大企業などではどうでしょう?


もの凄くカリスマ性がある経営者だけで、末端の社員まで経営理念が浸透するでしょうか?


たぶん、難しいでしょう。



経営理念の浸透レベル



経営理念の浸透レベル4となると「理念を行動に結びつける、行動の前提となる、こだわる」となっております。


従業員が多くなると、経営者と行動を共にすることは少ない(ほぼ無い)でしょうし、さすがに経営者の強いリーダシップだけでは『経営理念の浸透』までにはいかないことが予測されます。


また『経営理念』は、多くの場合が抽象的な内容となっていますので、従業員各個人が意味を解釈して行動前提まで浸透することは難しいような気もします。


なので、小規模の会社や、部門別では上手くいく可能性は高そうですが、大規模となると難しいでしょう。


中間管理職の力が必要になりそうです。



また、このブログは中間管理職向けや部署責任者向けに書いてますので、「強い文化」論モデルを進めるのは難しいかもしれません。





②観察学習モデル

ある組織の中で、組織成員が他の人びとの行動およびその結果を観察すること
によって、その組織や状況にふさわしい行動を順次学習し、レパートリーを広げ
つつ、行動の背景にある価値観や規範、さらにはその基盤にあるルールを取得
することをいう。そのため、抽象的な経営理念を浸透させるためには、経営者の
言行一致の姿勢が重要となるとしている。



これは少し腑に落ちる感じがします。


簡単に言えば「背中を見せる」ですか…




部下や同僚に「行動し結果」を示します。

それを様々な状況で示す。

それを学習してもらう形ですね。



これであれば、中間管理職や部署責任者でもできそうな気もします。



しかし、観察学習モデルの難しい所は「背中を見せる」だけで、抽象的な経営理念を理解させることができるかという点だと思います。


「背中を見せる」だけで、行動の背景にある価値観や規範、ルールを部下が理解できるのかと言われれば…




「オレ、自信無いわー」って感じもします。

「いや、もうちょっと説明してよΣ(゚д゚;)」となるかも。



あと、経営理念に結びつく事象がそんなに頻繁にあるかとかですかね?



「背中見せたいけど、背中見せる場面無ぇーわ」みたいな。



これは、他の論文などでも指摘されているところです。






ちょっと長くなりましたので、今回はここまでで…。




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私のブログは論文などの知見をもとに記事にしていますが、具体的にどのようにしたらよいかは今の所分かりません。


・リーダーシップを身につけたい方
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とりあえず、ご紹介まで。



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【参考著書】

柴田仁夫.経営理念の浸透に関する先行研究の一考察.経済科学論究.10;27-38:2013

Deal,T.E.and Kennedy,A.A.:CorporateCultures,Addison-Wesley.1982.城山三郎訳『シンボリック・マネジャー』岩波書店.1997.

金井壽宏:「経営理念の浸透とリーダーシップ」.小林規威・土屋守章・宮川公男編『現代経営事典』
日本経済新聞社.171-177.1986

金井壽宏:「経営理念の浸透と参照モデリング」.関西経協;50(11):146-148.1996

松岡久美:「経営理念の浸透レベルと浸透メカニズム  コープこうべにおける『愛と協同』.『六甲台論集;44(1):183-203頁.1997