今回は『経営ビジョン』があると、何に効果があるのかをエビデンスを元にお話しします。



◆◆前回までのお話はこちら◆◆ 






『経営ビジョン』のエビデンス


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Collins&Porras は、

先見性を持った未来志向型企業で、商品のライフサイクルや優れた指導者が活躍できる期間を超えて永続的に繁栄し続ける企業を「ビジョナリー・カンパニー」と称し、そこでは時代に影響されない永続的な経営理念が確立されている

と指摘しています。


そして、

自らの会社をビジョナリー・カンパニーにするためには、基本理念を維持し、
進歩を促す方向で組織に一貫性を持たせることが重要かつ真髄である


と説いています。



と、とりえあえず『経営理念』が大切なのは分かるとして、その浸透が、従業員や顧客満足に影響を与えるのかを知りたいですよね。




以下、先行研究を1つだけお示しします。



【目的】理念主導型の経営を通じて経営理念の浸透が顧客満足(CS)と従業員満足(ES)を両立させるのか


【結果①】理念主導型の経営をしている事例企業でのCSを確認。


【結果②】経営トップによる理念の浸透活動が、従業員における理念の浸透に影響を与え、内的満足と顧客が満足したときの自分自身の満足感(ES)が得られていた。


【結果③】結果①と結果②を分析したところ、経営理念の深い浸透度が顧客の高い事後評価の獲得に強く作用していることを確認。



【結論】経営トップによる理念浸透施策が浸透度を深め、経営理念を深く理解した従業員は顧客志向と経営理念の背後にある「精神の理解」にまで達し、ESと顧客ロイヤリティの獲得へと直接的に繋がっている。



この事例企業での「経営トップによる理念浸透施策」とは、


①新人に対する理念教育は、研修を通じて徹底的に行う
②トップから経営理念についての話を直接聞く機会がある
③わが社の経営理念の成り立ちや歴史について書いてある文書があり、社員が読めるようになっている
④トップの訓示や年頭挨拶では、経営理念についての言明が必ずある
⑤経営理念に対して、トップが異常なまでのこだわりがある



の5点のような感じですかね。



文中には、施策はアンケート形式になっているので、「具体的に〇〇のような施策を行っている」とは記述されていませんでした。



研究の限界は、事例企業のみの研究なので、一般化できるかは分かりません。



分かりませんが、たぶん『経営理念』が浸透している社員は、ESもCSも高いでしょうね。



もしくは、その社員はもともとポテンシャルやワーク・エンゲイジメントが高く、経営理念の大事さを知っているかのどちらかですかね?



とりあえず、『経営理念』の浸透はES(従業員満足度)やCS(顧客満足度)に影響を与えることが分かりました。



次は、ちょっと違う視点のエビデンスからお話ししたいと思います。




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【参考著書】
Collins JC,JI Porras:Built to Last:Successful Habits of Visionary Companies.New York:Harper Business.1994.

松葉博雄:経営理念の浸透が顧客と従業員の満足へ及ぼす効果ー事例企業調査研究からー.経営行動科学 21.89-103.2008


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